首相がリーダーシップを発揮できていない事や、政治家が国民の方を向いて政治をしていないという批判が大きくなっています。
確かに、これまでも批判の声は大きかったです。
長引くコロナに対して打開策をわかりやすく提示できていないことやウクライナ情勢への対応を見て、いままで政治に興味がなかった人たちの批判の声がのっかったことで政治に対する不信感がこれまでになく高まっています。
政治家に罵詈雑言をぶつけたい気持ちが分からなくもないですが、いったん立ち止まって考えてみませんか?
日本は民主主義の国です。だから、ふがいないリーダーを選んだ責任の一端は私たち国民にもあります。
しかしながら、誹謗中傷と国民主権の意味を取り違えている愚かな人たちや陰謀論などが混ざりあいSNSでは、まともな政治の議論が少ないように感じています。
実際に
「自民党に投票している人は人でなしだ」
「共産党に投票している人は売国奴だ」
「維新に投票している人は情弱だ」と
お互いを貶(おとし)めているやり取りをSNSで見かけます。
「なぜSNSで政治の議論」となるかもしれませんが、日本では、大ぴらに政治信条の話をすることがタブー視されています。ニュースの信ぴょう性もよく分からない昨今においては、SNSなど、あえて素性を晒さなくてよい場所で政治について発信をすることが自分の考えをまとめることや政治信条を固めていくうえで有用な手段の1つだと考えています。
そこで、この記事では政治を制度の面から解説することで、スキャンダルや都市伝説に惑わされずに政治の議論をする助けになるのではないかと思って書きました。是非とも最後まで読んでください。
日本の首相は、なぜ頼りなく見えるのか?
事実か否かは議論が分かれると思いますが、「反発を覚悟のうえで意思決定をして新たなことに取り組むスタンスが見えないこと」が原因です。
この記事の冒頭にも書きましたがコロナ対策1つを例にとっても納得いただける人が多いと思います。
さて、そこで問題になってくるのは、どうして改革や、その意思決定が進んでいないように見えるのでしょうか?
色々な原因が、絡み合ってのことですが私が考える原因は2つです。
野党が弱すぎること。
「弱い」というと「頭が悪い」「無能」という言葉が使われがちですが、私は、野党の人たちの能力に、どうこう言いたいわけではありません。間違いなく、私よりも頭もコミュニケーション能力も高い人ばかりだと思うからです。日本型の議院内閣制に適用できていないという意味で弱いと思います。
日本人の気質が政権交代を生み出しづらい
1つ目とも関連してきますが、私が無意味だと何度も書いている「ツイデモ」や勝ち馬に乗りたいと思う日本人が多いことで、政権交代が全く生まれないことで政権交代という勝負よりも、自民党内での立場やポストを得るための手段として選挙が使われています。
これらの原因を深堀りして、その対策を提案していきます。
議院内閣制だから首相の権限が弱いという誤解
日本の首相がリーダーシップを発揮できていないとき、比較対象に上がるのが「大統領制」です。とりわけ、アメリカの大統領と比べられることが多い印象です。
そもそも間違っている人が多いですが、日本の首相は民主主義国家の中では絶大な権力を保持できる部類にいます。
日本の政治制度は「議院内閣制」です。選挙によって国民の意志を託されている人たちが直接内閣を組織しているため権力が集中する設計の政治制度だからです。
一方でアメリカなどでは大統領選挙と議会の選挙が別々に行われます。
そのために「大統領も民意の信託を受けている」「議会も民意の信託を受けている」との理由から大統領・議会にそれぞれ権力が分散されるため、議院内閣制の制度と比較して、政治制度の面から見るとリーダーシップが発揮しづらい設計になっています。
しかしながら、首相を国民が選んでいるという意識が無いですよね?その原因を説明します。
日本の首相を国民が直接選べないのはなぜか
日本で国民が政治に参加している意識が低く、総理大臣の選出に国民が関わってる実感が低い理由は野党が弱すぎるからです。
本来であれば、総選挙が「次の総理大臣を選ぶ選挙」になります。
議院内閣制を採用している日本では選挙で最も多くの議席を獲得した政党の党首が総理大臣を務めるのが普通だからです。
2021年末の総選挙で、野党は候補者を選挙区内で被らないように調整することで「自民党支持VSそれ以外を支持する人」の対戦カードをたくさん作ることで、自民党の選挙結果を悪くして牙城を崩す作戦をとりました。
この時点で、日本の選挙が政策を比較して代表者を選ぶという性質から、ただの椅子取りゲームになっていることが分かりますよね。
本来であれば、総選挙のタイミングで与党はマニュフェストに対する達成率を国民にシビアにチェックされ、野党は与党が実現できなかった政策をどうやれば実現できるか、それに代わる政策を国民にプレゼンする場になるはずです。
それができていれば、これだけ自民党政権ばかりの現状は起こっていないです。

自民党が長い間、政権を担っていることで、党首の交代が政権交代のようなイメージになり、他の政党に任せることに懐疑的になる人は多いです。加えて、自民党独自のシステム政務調査会などを細臆させたため、野党の役割があってないような感じになっているのです。
野党は政権交代をする気があるのか?
野党って本当に政権交代する気はあるのか?この答えは、できるならやりたいけど、自滅を待つしか方法がないというのが本当のところだと思います。
自民党政権が長く続いたことで、有権者は与党は当たり前に自民党。自民党が失敗したときに、少し議席を減らすという構図が続いてきました。
長期的に自民党政権が続き、野党の意見が100%突っぱねられてきたわけでもないという空気感があります。
議院内閣制を採用している日本では、本来であれば自民党が提出した法案は基本的に通ります。そうなると国会での野党の役割は何なのでしょうか?
ガヤは野党の大事なお仕事です
政治学の世界で国会(議会)には2つの型があるとされています。
- アリーナ型
イギリスが代表的。基本的には政府提出法案は可決される
法案の中身を明確にし、広く周知することが暗黙の了解となっている
この法案の審議への参加の仕方(立場)が浸透して、次の選挙への有権者にとっての判断材料になる
- 変換型
アメリカやドイツが代表的
審議中に法案が修正され、法案の中身が修正される
クローズドな委員会の中で様々なやり取りがされている
日本は変形型の「アリーナ型」とされています。
国会で蓮舫さんが与党議員を激詰めしているシーンがテレビで頻繁に取り上げられて、賛否の声が上がっています。これが国会での野党のお仕事です。テレビでは視聴率をとることが目的なので野党議員が批判をして代案を出すところまでは放映されません。知りたければ選挙でマニュフェストを読んだり、討論番組を観るしかないのが、今の日本の現状です。
日本の法律案はどうやって国会まで行くのか
日本では「議員立法」「内閣立法」など国会議員が発案する法律の企画、内閣が政策を実行するために官僚に指示を出し、法案をつくらせる方法があります。
日本の政治が官僚に支配されていると言われるゆえんでもあります。この2つの方法で作られた法律の数を比べると内閣立法が大きな数を占めているからです。
因みに議院内閣制を採用しているイギリスなどでは大臣と官僚の接触が法律で禁止されています。
自民党の政策をつくる中心になっているのは「政務調査会」です。総裁選で話題になった高市早苗議員がボスを務めている機関です。
まずは、国会議員や省庁の官僚から、このような政策を実現したいという話が上がります。省庁別に作られている「部会」で政策の説明や勉強会が行われ、様々な調整が行われます。その後、政審と呼ばれる調査会などで、今の法律などと照らし合わされ、総会である政務調査会にかけられます。
その後、さらに調整がかけられ、総務会にかけられ全会一致を持って「党議拘束」がかけられます。これは自民党所属議員は必ず賛成するようにというお達しです。字面からもわかるようにお願いではなく命令です。
政治に国民が参加するには?
自民党が盤石な体制をとり続け、SNSやニュースサイトの発達により、野党の仕事はもはやガヤ化されてしまい、国民が政治にかかわる意味ってあるのか?と思う人も出てくると思います。
しかし、そう思ってしまうと日本は終わりです。国民の監視の目を選挙という形で届けるしか、政治に緊張感を取り戻し「良い政治」にもっていく方法はありません。
安部首相の時代から「メディア統制?」と疑われる発言や、メディア自信が政治を報じる権利があるのか?という場面が見られるようになりました。
地上波のテレビなどは面白くない、信用ならんという声は多いですが、政治家を比較して、ある程度まとまった時間で人となりを見極められる機会はテレビしかないと私は考えています。
オススメはABEMAで毎日夜の9時からやっている報道番組をみることです。専門家と政治家が語りあい、それをMCを務めるお笑い芸人が、議論をしっかりアテンドして作り込まれている番組です。
私たち国民が政治への関心を取り戻すことから国民主権をやり直しませんか?