昔から、「大人になったら本当の友達はできない」と言われがちです。
いろんな意見があると思います。
しかしながら、友達ができるかできないかは別として、友達がいなくても平気な人、孤独に耐えられない人に別れるのは事実だと思います。
今回の記事では、30歳くらいまでの若い人向けに友達関係が変わる瞬間と社会現象の関係を解説していきたいと思います。友達がいてもいなくても、孤独を紛らわせるヒントになれば嬉しいです。
20代後半で友達作りが難しくなる理由
- 仕事の違いで経済力が変わる
- 時間の使い方が変わる
- ライフステージが変わる
- 交友関係が狭くなる
色々と書きましたが、一言にまとめると「価値観が揃いづらくなる」ということです。日本の学校教育の方針は、良くも悪くも生徒を一定水準のレベルまで引き上げることです。
近年では独創的な考え方ができなくなる、時代に合っていないなど批判的な意見が増えてきましたが、戦後や農業中心からホワイトカラー中心に産業構造が変わる際、人の教育レベルを合わせておくことで、貧困に落ちる可能性がある人を減らすことができます。
しかしながら、元々の知能の差や通う学校が半ば強制的に決まる環境は、全時代にはなかった新たな価値観を生み出し、それが今までになかった問題を生んでいます。

今までは、冒頭の4つに書いたような理由で20代後半の人々は友達ができづらいとされていましたが、価値観の違いという甘いものではなく、学歴や収入で世代や地域関係なく人々が心理的に分断されるようになったのです。
学校や会社での友達グループが面倒になった理由はSNS
以前、別の記事でも紹介した橘玲さんの『無理ゲー社会』では、私たちの交友関係を、下記のように分析していました。
- 愛憎入り混じる関係の愛情空間
- 派閥抗争からマウンティングまで権力闘争を行いつつ、裏切らない仲間を探す友情空間
- 愛憎もなければ連帯や裏切りもなく、ルール通りに行動すれば決められた結果が返ってくる貨幣空間
家族や兄弟でも、成績や運動が得意か不得意かで、回りからの扱われ方が変わったり、恋人同士でもSNSなどの普及から、1人きりの時間が作りづらくなったりとバランスの取り方が難しくなっています。
さらに毒親や遺伝ガチャという言葉が普及してしまったことにより、愛憎の「憎い」のゾーンが拡がってしまっています。
友情空間においても、職場では上司との関係を有効にしたり、面倒から逃れるために、なるべく自分の業務範囲を広げないようにしたり、評価に直結する部分以外での飲み会やコミュニケーションに参加する意義を見出しづらくなっていることも現状です。
その流れに逆行して、ある程度、成長軌道に乗っている企業では社員の離職率を上げるために福利厚生の充実と並行して「エンゲージメント」を高める工夫をしています。
エンゲージメントとは、会社への忠誠心や愛着と解釈されることが多いです。
会社と、ある程度距離感を保ちたい今の若手世代と、距離を詰めていきたい企業側の何とも皮肉な対比構造が生まれていますが、これは別記事で紹介したいと思います。
それでは、バランスの取り方が難しいと分かりつつも、心の拠り所として「愛情空間」を求め、「友情空間」を限定することによって、裏切りや連帯を避けようとしている若者は、その余った時間をどこに費やしているのでしょうか?
安心できる居場所は友達からSNSに変わった?
先ほど書いたことと矛盾しますが、今の若者が拠り所としているのはネット空間です。
現実世界とは違い、いわゆる裏垢をつかって、嫌われたり、変な人だと思われないように気を遣いながら生活している自分の個性をネットで存分に表現する人が増えています。
先ほどの分類で言うところの友情空間を、本気で絞って友達を厳選して親友にしたり、親友を作ろうとせずに、その役割を貨幣空間で補う人が増えています。

友達がいてもいなくても平気な人、つまり良い意味で自由に生きている人は貨幣空間の使い方が上手い人です。
どういうことかというと、今の若者の気持ちを整理すると
ということです。
要するに、現実世界だけで満足するすべを求めていくのではなく、ネットやSNSを有効に使っていくことこそが、今を生きるための生存戦略なのです。